関西電力の鉄塔14
山下線
77KV山下線です。
隣接して鉄塔を2基使用し1つの支持物としています。
通称アベック鉄塔とか双子鉄塔と呼ばれているこのような鉄塔を使用した線路は近年では大変珍しくなっています。
そんな山下線の鉄塔には大変興味深い経緯がありました。
昭和4年(1929年)長野県の箕輪水力発電所と山梨県の釜無川第一水力発電所を結ぶ
66KV線路として運開した八ヶ岳線がその前身にあたります。
戦後間もない頃、阪神地域の電力需要に対応するため北陸系統の電力を分岐し
伊丹変電所に送電することが計画され、八ヶ岳線の鉄塔(149基)を撤去流用して
154KV(2回線)線路の伊丹線として昭和22年(1947年)に運用が開始されました。
当時はまだ日本発送電の統制化でかつ、資材の不足も当たり前だったことから苦肉の策として
山梨の鉄塔を兵庫へ移設し66KV級鉄塔を2基並べて154KV級鉄塔として使用したのでしょう。
時代と系統需要が変わり、現在は77KV2回線線路として運用しています。
山下線8号鉄塔です。
鉄塔は66KV級の普通型(A型)を使用し、各鉄塔で1回線を支持しています。
山下線9号鉄塔です。
下段には、もう一つ腕金が取付けられる構造になっています。
154KV運用当時も現在の装柱と同様に上下2回線の水平配列だったようです。
山下線10号鉄塔です。
山下線10号鉄塔は地中線を分岐する構造で2回線を支持しています。
若番側の山下線9号鉄塔を望む・・
現在の10号分岐鉄塔は連番ですが、分岐化に伴う割り入れ(建替)鉄塔なのでしょう。
地中線のケーブルヘット支持腕金は線路に対して同一方向になっています。
この方向支持は関西電力で多く採用されている装柱です。
山下線11号鉄塔です。
保安(避雷)装置用のソーラーパネルが装柱されています。
同じ鉄塔2基ですが、腕金が連結されています。
腕金連結部にはがいし吊下用のUボルトの穴が空いていますが、支持位置はずらしてあります。
山下線は郊外の山間部を通過しているので鉄塔敷に行くのも困難です。
建設年月は昭和22年6月となっています。
11号鉄塔より老番側の山下線を望む・・奥の鉄塔には架空地線の尖がりがありません。
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