R東日本の送電線

電力会社?!

JR東日本は自営の発電所や送電線を運用し、全電力消費量のうち火力発電約30%、水力発電約25%と

約半数の消費量を補い、首都圏に限定すればなんと約90%を独自に補っています。

自営火力発電所 1箇所 (神奈川県)
川崎火力発電所 出力655,000Kw 運開 昭和5年※1

自営水力発電所 3箇所 (新潟県)

※2
千手水力発電所 出力120,000Kw 運開 昭和14年
小千谷水力発電所 出力123,000Kw 運開 昭和26年
新小千谷水力発電所 出力206,000Kw 運開 平成2年

※1 大正末期(14年頃)に建設された赤羽や矢口の火力発電所は、送電線も含め現在は廃止されています。

※2 信濃川水力発電所とは3箇所の発電所を総合して、信濃川発電所と呼称しています。

(小千谷と新小千谷は同一敷地で隣接しています。)

JR東日本の送電線は昭和十年代前半(昭11頃~)※3に、鉄道省(国鉄の前の機関)により建設されたものです。

当時はまだ電力会社も数多くあり、各社とも需要(者)獲得へむけ熾烈な競争をしており電車動力となる重要かつ莫大な

電源確保(安定受電)は難しく、自ら(鉄道省)が電源開発確保をせざる得ない状況だったと思われます。

※3 現在の千手(信濃川)~新鶴見線(下記)には、一部大正15年11月建設と記されていますが、

実際の千手水力等の信濃川発電構想が、鉄道省より地元地域に発表されたのは昭和4年頃のようです。

昭和13年頃には群馬県内で千手(信濃川)~新鶴見線(下記)の増強(またはそれに匹敵する

ような大工事?)が行われていたという情報もあります。

当初は(一部?)66KVで送電していたようなので、昇圧工事等だったのかもしれません。

送電線路亘長(2003年3月)

電圧 架空線(Km) 地中線(Km)
275Kv 34,4Km 1,7Km
154Kv 247,2Km 48,4Km
66Kv 428,4Km 320,2Km
22Kv(以下含) 196,6Km

275KV系統

新幹線の電源用が主となっており、那須高原など一部にあります。

275KV系鉄塔

新潟県1

栃木県1

群馬県1


154KV系統

千手(信濃川)~新鶴見線

筆頭すべき送電線と言ば、信濃川電源から首都圏へ向けて建設された「154KV鉄道省信濃川送電線」でしょう。

近年こそ建替が行われていますが、信濃川から首都圏(新鶴見)まで、初期ルートのままの古い鉄塔が数多く残っています。

千手(信濃川)を起点(終戦後信濃川増強)に六日町(新潟県)を経由し、難関の谷川岳(清水峠)に挑みます。

豪雪の清水峠(谷川岳)には専用の送電線監視小屋(現在は無人)が設置され、また送電線も1回線の回線毎鉄塔

(事故防止のため)に分離して越境します。(関越自動車道の関越トンネル手前で回線毎鉄塔が見えます)

東京電力の送電線(上越幹線、中東京幹線、新(南)新潟幹線)が谷川岳西側の三国(苗場)側で越境している

のに何故清水峠?と思いますが、これは信濃川送電線の建設前に上越送電線(上越幹線)が新潟群馬県境付近で

積雪沈降のため部分倒壊する事故が発生したことから、三国側から清水側へとルートを変更し、安全を考慮して

鉄塔を回線毎鉄塔にしたようです。(事故当時、上越送電線は2回線鉄塔で区間運開中でした)

なお、東電側は保守便宜上、最初に建設された上越幹線に合わせたものと思われます。

(谷川岳よりもう少し東に行けば電源開発の只見幹線が越境していますが・・)

清水峠を超えると桃野開閉所、時沢開閉所を通り東電線と一部区間共架し埼玉県の岡部交流変電所に繋がります。

岡部変電所からは比較的平坦な地をストレートに進み、毛呂山町の前久保開閉所を過ぎると東京電力の

中東京変電所からの連絡線(信濃川中東京線)を接続し、圏央道(入間付近)と併走し東京電力豊岡変電所付近を

南下しながらJR中央線東小金井駅近くの武蔵境交流変電所へと至ります。

武蔵境変電所手前(信濃川側)では東京電力の154Kv中富線が上部を越えています。以前はここでJR送電線と

東電線が接続していましたが、両鉄塔(線路)とも改修(改造、建替)しその痕跡を辿ることは現在は出来ません。

武蔵境変電所からは先は、ほとんどの区間で改修(嵩上げ改造、建替)されていますが、高い鉄塔に建替ても

欠番(鉄塔1基飛ばし)はしていません。、三鷹市内には1基のみ美化単柱の鉄塔が存在しています。

調布市に入ると再び中富線と交差しますが、建替前は中富線の上段154KV線路と下段の66KVの線路の

間をJR線路が平面交差する大変珍しい装柱で、下段線路の鉄塔はわずか11m(中富線は49m)という低さでした。

東京と神奈川の境の多摩川や東名高速を超えると、程なくして終点の新鶴見交流変電所に到着します。

千手(信濃川)~新鶴見線の主な経由地(市町村)と区間線路名

新潟県 小千谷市(信濃川区間)、十日町市、六日町、塩沢町
群馬県 水上町、月夜野町、沼田市、昭和村、赤城村、北橘村、富士見村、前橋市       伊勢崎市
埼玉県 本庄市、岡部町、深谷市、花園町、川本町、小川町、嵐山町、鳩山町          毛呂山町、坂戸市、日高市、飯能市、入間市、所沢市
東京都 東村山市、東久留米市、小平市、小金井市、三鷹市、調布市
神奈川県 川崎市多摩区、川崎市宮前区、川崎市高津区、                      横浜市港北区、横浜市鶴見区

区間(新潟~神奈川)

区間線路名

小千谷発電所~千手発電所

小千谷~千手線(信濃川区間)

千手発電所~上長崎開閉所

千手~上長崎線

上長崎開閉所~桃野開閉所

上長崎~桃野線

桃野開閉所~時沢開閉所

桃野~時沢線

時沢開閉所~岡部変電所

時沢~岡部線

岡部変電所~前久保開閉所

岡部~前久保線

前久保開閉所~武蔵境変電所

前久保~武蔵境線

武蔵境変電所~新鶴見変電所

武蔵境~新鶴見線

千手(信濃川)~新鶴見線

(新潟1) 小千谷発電所 (新潟2) 小千谷~千手線1
(新潟3) 千手発電所 (新潟4) 千手~上長崎線1
(新潟5) 千手~上長崎線2 (新潟6) 千手~上長崎線3
(新潟7) 上長崎線開閉所 (新潟8) 上長崎~桃野線1

(群馬1)上長崎~桃野線2 (群馬2) 桃野線開閉所
(群馬3) 桃野~時沢線1 (群馬4) 桃野~時沢線2
(群馬5) 時沢開閉所 (群馬6) 時沢~岡部線1
(群馬7) 時沢~岡部線2 (群馬8) 時沢~岡部線3

(埼玉1) 時沢~岡部線4 (埼玉2) 時沢~岡部線5
(埼玉3) 岡部変電所 (埼玉4) 岡部~前久保線1
(埼玉5) 岡部~前久保線2 (埼玉6) 岡部~前久保線3
(埼玉7) 岡部~前久保線4 (埼玉8) 岡部~前久保線5
(埼玉9) 前久保開閉所1 (埼玉10) 前久保開閉所2
(埼玉11) 前久保~武蔵境線1 (埼玉12) 前久保~武蔵境線2
(埼玉13) 中東京信濃川線1 (埼玉14) 中東京信濃川線2
(埼玉15) 前久保~武蔵境線3

(東京1) 前久保~武蔵境線4 (東京2) 武蔵境変電所
(東京3) 武蔵境~新鶴見線1 (東京4) 武蔵境~新鶴見線2

(神奈川1) 武蔵境~新鶴見線3 (神奈川2) 武蔵境~新鶴見線4
(神奈川3) 武蔵境~新鶴見線5 (神奈川4) 武蔵境~新鶴見線6
(神奈川5) 武蔵境~新鶴見線7 (神奈川6) 新鶴見変電所


154KV系鉄塔

信濃川~首都圏(新鶴見)線以外の154KV線路は東電変電所や鉄塔からの連絡線となっています。

埼玉県他1


66KV系統

154KV系統を受電した給電所(交流変電所)から各運転変電所(電車や駅舎用)への連絡線です。

武蔵境交流変電所などの、交流変電所から数多くの66KV線が出力していますが

現在は地中線に置き換えられたり、系統の変更により減少(撤去)の傾向にあります。

現在も残っている主な架空線路は下記の通りです。

武蔵境~八王子~大月~甲府方面

武蔵境~戸田~蕨方面(一部地中化)

籠原~吹上(埼玉熊谷方面)

新鶴見~新横浜~大船方面

新鶴見~川崎火力方面(一部撤去)

平塚二宮~根府川~湯河原方面

金町~小岩~松戸方面(門型鉄塔が多い)

小金井~雀宮~宇都宮方面

66KV系鉄塔

千葉県1

千葉県2

山梨県3

山梨県1

山梨県2

山梨県4

山梨県5

埼玉県1

埼玉県2

栃木県1

東京都1

東京都2

東京都3

東京都4

神奈川県1

神奈川県2

神奈川県3


66KV系統以下

154KV系統や66KV系統を受電した給電所から各運転変電所への連絡線です。

66KV系以下鉄塔

新潟県1


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