河川航行中のクレーン船が送電線に接触した広域停電について
平成18年8月14日 午前7時38分頃に東京都区部を中心とした広域停電が発生しました。
原因は千葉県浦安市と東京都江戸川区の都県境を流れる旧江戸川を上部横断する
275KVの江東線(新京葉変電所〜江東変電所間の78号鉄塔〜79号鉄塔間)において
河川航行中のクレーン船のアームが電線に接触し電線を損傷、送電が停止したものです。
この損傷停止により、最大約139万軒が停電しましたが午前10時44分にすべて復旧しました。
広域停電の原因となった江東線の河川横断箇所です。(3枚写真合成)
旧江戸川を挟んで千葉側の江東線78号鉄塔(右)と東京側の江東線79号鉄塔(左)です。
旧江戸川の堤防には”上部送電線注意”の喚起の看板や旗が・・(鉄塔は老番側の江東線79号)
損傷箇所は河川上空のために高所作業車は使えず、すべて宙乗器による作業となりました。
江東線の1号線の2相(中、下相)と、2号線の1相(下相)を損傷したことから2回線が停止してしまいました。
(左)電線宙乗器を使用するために導体スペーサーが外してありました。
江東線の2号線の1相は当日(14日)の夜に作業を終え、本日(15日)は1号線の中相で作業をしています。
作業は損傷箇所に直線スリーブで新しい電線を割り入れ接続していました。
河川敷には割り入れ用の電線(10m位)が用意されています。
地上では電工さんの嗜好品(飲料水)を準備して万全のサポートをしています。
電工さんは宙乗器で河川敷上空まで戻り荷を吊り上げて、また河川上空の接続箇所に戻りました。
電線下の河川にはテプコ送電線パトロール艇”電設号X”が警戒しています。・・でんせつ号とは凄い・・
千葉県側の江東線78号鉄塔です。
宙乗など作業拠点は若番側のこの鉄塔になっていました。
作業拠点の江東線78号鉄塔の鉄塔敷には作業車が集結し、動力用のエンジンや仮設トイレが揃えてありました。
江東線78号鉄塔の1号線側です。
先に作業が終了した2号線側では送電(運開)準備中のようで、塔体中央部には赤い旗が設置されていました。
接続中の1号線の中相と損傷した下相(宙乗器の真下)と完了した2号線側の割り入れ箇所(矢印)です。
今回は早期運開のために割り入れで仮補修し、後日改めて電線の張替をするようです。
平成18年8月18日 追記
クレーン船の所有会社が1999年3月にも今回と同様の送電線接触事故を起こしていたことが判明しました。
1999年3月4日 茨城県水戸市内の那珂川河川で送電線2本を切断し10時間もの停電が発生したものです。
作業員のモラルの問題と思っていましたが、会社自体にも大きな問題があるようです。
未確認ですが、水戸の那珂川の送電線は水府線という情報も頂きました。
平成18年8月15日 浦安市にて 作成及び撮影は作者
注意
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