さよなら高圧線(神奈川若番)

22KV新丸子線です。

新丸子線の歴史は古く1926年(大正15年)中原変電所(川崎市)を起点に程なくして多摩川を越え

都内(大田区)に入り、北上する(奥沢方面)線路と南下する(矢口方面)線路に2分岐しています。

建設当初は北系のみの1系統で、後に南系が分岐する形になったようです。

北系、南系共に東急目蒲線(大正11年創設の目黒蒲田電鉄)の軌道敷に支持物を

設置しているのがこの線路の特徴で北系が主に門型鉄塔、南系が主に鉄柱となっています。

なお、平成になって北系が廃止になり、南系のみが残っていましたが、同系統の若番側の

中原変電所の小杉駅周囲再開発に伴う地下式変電所化や線路の老朽化などで、老番負荷側の

系統変更が完了したことから今回、新丸子線は運用を停止して廃止、設備除却となりました。

新丸子線と同じく22KVの住吉線も繋がる武蔵小杉駅前の中原変電所です。

66KV中原線1号(左)新丸子線1号(中央)住吉線1号(中央矩形)中原線2号(右)です。

小杉駅はJR南武線と東急東横線が連絡する(川崎縦貫鉄道の計画もある)その利便性から

数十階に及ぶ高層ビル数棟の建設など大規模な開発が進行しています。

駅前変電所で引留鉄塔がケーブル化されているとはいえ、屋外鉄構のある変電所が

そのままという訳にはいかず地下式変電所化(現在同位置かは不明)は自然の流れなのでしょう。

東急東横線の高架駅を越える新丸子線2号鉄塔です。

斜材が多数追加されていますが、建設は昭和29年7月と記されていました。

新丸子線2号鉄塔(左)と中原線2号鉄塔(右)です。

新丸子線の1、2号鉄塔は共に増架(上部に新たに組み上げ)が可能のようです。

新丸子線3号鉄塔です。

建設が大正15年7月と記された原型鉄塔です。

主鋼材の継目のボルトがシングルで並んでいます。

架空地線の支持部(尖がり)は遮へい角度の変更で増強されています。

線路建設当初の塔高な原型鉄塔、新丸子線4号鉄塔です。

新丸子線3〜4号間では66KV中原線の上部を横断し、更に綱島街道と東海道新幹線、

横須賀線、南武線(JRの方よ)と道路と鉄道の大動脈を越えています。

除却は稀に見る難事業(失礼)となりそう・・

現在、この位置に横須賀線の新駅(平成21年開業)が計画され南武線を経由して

東横線に連絡されることから、この門型の中原線にも影響がありそうです。

それより、中原変電所は再開発地区の電源として、もっと大きな計画があるのかも知れませんが・・

新丸子線4号は3号と異なり尖がり増強がありません。

高度成長以前はもの凄く高い鉄塔に見えたのでしょう・・

現在は建物が密集して撮影も困難です・・

増強建替された新丸子線5号鉄塔です。

昭和60年7月に増強建替された新丸子線6号鉄塔です。

この老番側で多摩川を横断するのでロングスパンに対応した大鉄塔です。

22KVなので懸垂がいし装置小さい(鉄塔が大きい)です・・

このような形の鉄塔は大変珍しく貴重な存在です。

多摩川を渡る東海道新幹線を見下ろして・・

ミナサンもうスグ東京です・・

さよなら高圧線(東京老番)へ続きます。


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